第1に、産業振興についてお伺いします。
新たな豊島区基本構想・基本計画において、まちづくりの方向性の5番目に「活気とにぎわいを生みだす産業と観光のまち」が掲げられ、今後、区として、スタートアップ支援、商店街の活性化、魅力ある観光資源の発掘と発信などに注力していくことが示されました。さらに令和7年度の組織改正(案)では、「文化商工部」が「文化スポーツ部」と「産業観光部」に分割されることが示され、基本構想・基本計画の実現に向けて着実に動き出しているものと感じました。
私は、かねてより地域経済の活性化は区政運営の土台となる重要な要素であると考えておりましたので、これからの豊島区の産業振興政策がより一層充実したものとなることに大いに期待をしております。
そこで、今後の豊島区の産業振興政策に関し、いくつか質問させていただきます。
まず、組織改正についてお伺いします。
令和7年度から「文化商工部」が「文化スポーツ部」と「産業観光部」に分割されることについて、産業振興の観点からの狙いや期待する効果について御説明ください。
また、部局が分割されることにはなりますが、豊島区においては文化と産業・観光が相互に影響し、高め合う関係性は今後も続いていくものと考えます。この視点に立ったときに文化スポーツ部と産業観光部の連携という点も重要になるかと存じますが、この点に関する区の方針をお示しください。
次に、基本計画における産業振興政策についてお伺いします。
基本計画各論、第2章、7つのまちづくりの方向性の方向性5、「活気とにぎわいを生みだす産業と観光のまち」の第1の施策に「中小企業の経営力強化と起業・スタートアップの支援」が掲げられています。ここでの取組方針、「あらゆる人材への起業・スタートアップ支援」にはデジタル産業のスタートアップ企業への支援が明記されています。この点、デジタル産業に関する方向性に関しては、昨年第2回定例会の私の一般質問に対し、基本構想・基本計画の中で検討する旨の御答弁をいただいており、それが明確に反映されたことを高く評価するとともに、今後どのようなデジタル産業への支援が実施されるのか大いに期待しております。
他の自治体におけるデジタル産業への支援策の実例としては、デジタル分野などに挑戦する中小企業を対象としたインキュベーション施設の運営、産官学が連携したAI、IoT研究会の実施、企業からの技術相談対応や域内企業共用の研究機器の提供などが挙げられます。豊島区においては、まだ具体的な施策として固まっている段階ではないとは存じますが、現時点でイメージしているデジタル産業支援政策の方向性をお示しください。
また、もう一つの取組方針、「経営基盤の強化と多角的なビジネス支援」では、「中小企業の勤労者支援、働き方改革、事業承継支援、リスキリング、女性やシニア、外国人人材の活用など多様な人材確保を支援」することが示されました。豊島区の産業振興という文脈で、このように働く方々に焦点が当てられたことは非常に画期的なことではないかと感じました。日々懸命にお仕事に励んでおられる働く方々こそが国や地域の原動力であり、そのような方々が頑張った分だけ報われる社会を築いていくことが日本全体の課題であると考えており、その観点からも有意義な方針だと捉えております。
そこで、このような働く方々に関する方針を定めたことに対する区の意図を御説明ください。
また、私としては、ここで例示されている具体的な取組みのうち「リスキリング」に特に関心を抱いております。従業員が新たな技能や知識を身に付けることで雇用する企業の競争力が向上し、当該従業員にとっても待遇の改善、新たな活躍の機会の獲得につながるなど、企業・労働者双方にとってメリットがあります。一方で、規模の小さい中小企業にとっては、自力で従業員のリスキリングに取り組む余裕がないというのが実情です。そのため、行政が中小企業のリスキリングを支援することには大きな意義があると考えます。リスキリング支援の具体的な方法としては、各種講習や研修会の紹介、受講支援、受講料や教材費の補助、教材のリユース、異なる企業に勤める労働者同士の交流の場の提供などが挙げられます。これらの取組みは低予算で着手しやすいものも多いと思われますので、この辺りから実践されることを御提案いたします。区としては、今後どのようにリスキリング支援を実施していくおつもりか、御見解をお示しください。
産業振興に関する質問の最後に、令和7年度当初予算案における産業振興政策についてお伺いします。
この度の基本構想・基本計画からは、産業振興により一層力を注いでいく区の意気込みが感じられ、そして、それを実効性あるものとするための組織改正も行われるものと理解しております。そして、今後はこの体制の下で多様な施策が実施されていくものと推察します。
一方で、この度示された令和7年度新規・拡充事業政策別一覧の「中小企業の経営力強化と起業・スタートアップの支援」を拝見したところ、令和7年度は特段新しい施策を行われないように見受けられました。この点に関する区の御見解をお示しください。また、今後どのようなスケジュール感で中小企業スタートアップ支援を展開していくおつもりか、区の展望をお示しください。
第2に、図書館についてお伺いします。
私たちの会派は、昨年11月18日に、豊島区を含む全国の多くの自治体の図書館の指定管理を行っている図書館総合支援企業「株式会社図書館流通センター(TRC)」を視察してまいりました。そこでは最先端の技術を活用した非常に便利な図書館設備、従来の図書館のイメージにとらわれない多様な機能を有する施設など、様々な先進的な図書館の姿を学ぶことができました。
図書館に関しては、基本構想・基本計画の中でも「多様な役割を持つ新たな図書館の実現」が施策として掲げられています。そこに記されている取組方針のうち、初めに、図書館のDX化の推進についてお伺いします。
まず、図書館の利用登録と図書館利用カードについてです。
現状、豊島区の図書館を利用するためには、実際に図書館のカウンターに出向き、利用登録をして図書館利用カードを発行する必要があります。なお、マイナンバーカードの図書館利用カード利用は現在休止していると伺っております。また、現在はスマートフォンで図書館のマイページを開き、バーコードを表示することで図書館利用カードを出さなくても本を借りることが可能ですが、それも紙の図書館利用カードを有していることが前提となっております。
一方で、他区ではオンラインによる図書館利用登録、カードレス化を導入しているところもあると伺っております。この点、図書館の利便性向上の観点から、本区においてもオンライン利用登録、カードレス化を導入すべきではないかと考えますが、区の御見解をお示しください。
続いて、電子図書館についてです。
現在、豊島区では、先述のTRCが提供するシステムを用いた「TRC豊島電子図書館」が利用可能です。図書館に行かなくても、PCやタブレット上で本を簡単な操作で借りて読むことができる非常に便利なシステムであり、私も活用させていただいております。しかしながら、まだまだ使いづらい部分もいくつかあるように見受けられますので、その点について触れさせていただきます。
一点目は、利用登録です。現状、豊島区の電子図書館は図書館システムとの連携がなされていないため、図書館の利用登録とは別に電子図書館の利用登録の手続きを図書館のカウンターあるいは電話で行う必要があり、不便であるように感じます。そこで、今後は電子図書館と図書館システムとの連携を行い、図書館の利用登録をすれば電子図書館も利用できるシステムを整備すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
二点目は、蔵書の少なさです。実際に電子図書館のサイトからいくつかのジャンルのページを開いてみたところ、産業2冊、歴史11冊、技術・工学・工業2冊など、極端に低いジャンルが散見されました。その他にも政治47冊、経済40冊など、メジャーな分類の割には心もとない数である上、特定の著者の作品に偏っているところがあるようにも思われました。この点、電子図書館の蔵書数について、区としてどのような評価しておられるかお答えください。そして、電子図書館をより使いやすいものとするためには蔵書を増やす取組みをすべきだと考えますが、区の御見解をお示しください。
電子図書館は、現状、指定管理者であるTRCの自主事業という位置付けであり、区として手をつけづらいものだということは理解しております。そこで、会派としても御提案させていただいておりますが、今後、電子図書館を区の直営の事業とし、先述の提案も含めた電子図書館の改善を図られることを要望しますが、区の御見解をお示しください。
続いて、最新技術を用いた図書館設備の導入についてです。
TRCの視察では、書籍に取り付けられたICチップを活用し、置くだけで貸出しや返却ができる装置、どの位置にどの本があるかを遠隔で即時に把握・管理できる書架などの最新の設備を見学させていただきました。
本区においては、上池袋図書館の大規模改修の際に、「カウンターに並ぶことなく、予約資料受取りからリアルタイム返却まで可能な機能を導入、豊島区立図書館初の完全セルフ化を実現する」とされていましたが、この点の見通しについて御説明ください。また、その他の図書館についても、今後、改築・改修される際には積極的にこのような設備を導入し、図書館の利便性や魅力の向上を図るべきだと考えますが、区のお考えをお示しください。
次に、取組方針のうち、「居場所(サードプレイス)、交流の場、創造の場としての図書館の整備」や「生涯にわたる区民の多様な学び」の支援に関してお伺いします。
図書館に関しては、本区に限らず全国的に図書館の役割の拡大が謳われ始めています。文部科学省のCOCOLOプランでは、不登校の児童・生徒の多様な居場所の一つとして図書館を活用することが記されています。他区の事例では、中央区の晴海図書館は、乳幼児連れの方向けの「はだしスペース」や児童向けの「おはなしのへや」「児童エリア」、10代から20代向けの「Teens&Youthエリア」「利用者交流室」など、年代ごとに適した空間を創出しています。また、北区のジョイトエルは、図書館という形にとらわれない、「本を軸とした、創造の場」と銘打ち、図書館としての機能はもちろん、3Dプリンターやレーザー加工機などのモノづくりのための設備、音楽・動画編集室など多彩な用途の施設設備を有しています。
このような社会の動きを踏まえると、居場所(サードプレイス)、交流の場、創造の場、生涯学習の場としての図書館を目指される方針は大変望ましいものであると評価できます。
その第一歩として、まず、上池袋図書館の大規模改修がこれから進められるものと認識しております。この度の大規模改修により、上池袋図書館にも、さきに言及した北区のジョイトエル同様、3Dプリンターなどのデジタル機器を使ったモノづくり体験ができるファブスペースが設けられます。ぜひ子どもたちをはじめ、地域の方々が気軽に使用でき、創造的な活動を楽しめる場所になってほしいと願っておりますが、そのためには設備導入と併せてその使い方をいつでも指導してもらえるような体制を整備することも必要だと考えます。この点については、我が会派の細川議員もさきの公共施設・公共用地有効活用対策調査特別委員会にて指摘し、区からは、サービスの周知徹底を図る旨の答弁がなされました。ファブスペースの使い方の指導には、従来の図書館のレファレンスサービスとは異なる知識や技能、対応力が求められることと思われますが、このファブスペースを利用される方へのサポート体制をどのように整備していくのか御説明ください。
そして、上池袋図書館の次に千早図書館、さらにその次には池袋図書館と続いていくものと推察しますが、今後の図書館の改築・改修について、先述のような多様な側面を持つ次世代の図書館をどのようなスケジュール感で実現していくのか、また、図書館ごとにどのような特色を持たせていくのかなど、区の展望をお示しください。
また、多様な側面を持つ図書館の実現において課題となるのは、面積の問題だと思われます。現在も中央図書館などでは閲覧席は混雑していることが多く、もっと席数があればともどかしくなることがありますが、敷地の都合上、難しいと伺っております。今後、より多能な機能を図書館に付与していくためには、その分の面積の確保も必要になりますが、区としての対応方針をお答えください。
図書館に関する質問の最後に、組織改正について伺います。
この度の組織改正では、図書館課は教育部へ移行することとされています。この点についての区の狙いと、一般の方を含めたサードプレイスや生涯学習の場などとしての図書館という方針との関連性についての区の御見解をお示しください。
第3に、住宅宿泊事業、いわゆる民泊についてお伺いします。
住宅宿泊事業については、かねてより近隣トラブルやごみの出し方などが問題となっており、我が会派の中澤議員も、さきの決算特別委員会にてこの問題については取り上げ、改善に向けた取組みを求めました。
私からは、この住宅宿泊事業の届け出を業としている行政書士としての視点から、制度の現状に関する問題提起をさせていただきます。
住宅宿泊事業を開始するに当たり、家主不在型で実施する場合は、住宅宿泊管理業者に管理業務を委託しなければならないこととされています。また、豊島区では、ごみの回収については、事業系一般廃棄物処理や産業廃棄物処理の許可を受けた民間回収業者へ委託契約することとされています。しかしながら、届け出申請の実務という視点だけで言えば、住宅宿泊管理業者については、契約締結時に交付される書面を添付し、様式に必要事項を記載するだけで済みます。また、ごみの回収業者については、様式のチェックシートを記入するのみです。言い換えれば、これらの要素については書類さえ揃えてしまえば申請できてしまうというのが現状です。
そして、実際にこの点を悪用した不正な届け出を行おうとする民泊業者からの依頼が私の下に来たことがあります。他の自治体の案件ですが、この業者の背後には悪質な民泊コンサルティング業者がついており、この業者が住宅宿泊管理業者やごみの回収業者に関する書類を形だけ整えて申請できる状態にし、民泊業者からその対価を得るというスキームでした。当然形だけ整えただけなので、実際に住宅宿泊管理業者やごみ回収業者が機能するはずがなく、実際はコンサルティング業者が最低限の管理を行い、ごみは自ら回収して別の場所で家庭ごみとして出すことになるとのことでした。もちろんこのような申請の依頼は断りましたが、現在は電子届け出も可能なので、行政書士を介さずに不正に事業を開始することはできるものと思われます。
なお、この民泊業者とコンサルティング業者のいずれも外国人が経営する企業であり、その国の経営者・投資家コミュニティの間では、このスキームが広く浸透しているようでした。
また、同じく住宅宿泊事業の届け出を業として行っている知人の行政書士にも確認したところ、やはりこのような違法な民泊コンサルティング業者の存在は認識しており、不正届け出が本区も含めて広く行われているおそれがあると実感しました。そして、住宅宿泊管理業者やごみ回収業者が事実上確保されていないのであれば、昨今取り上げられているような住宅宿泊事業に関する諸課題を改善することなど到底見込めないため、これは本区にとっても深刻な問題であると捉えております。
このような不正な住宅宿泊事業届け出が行われている可能性について、区としてどのように認識されていますでしょうか。もし、実際の事例を把握しておられましたら、併せてお答えください。
住宅宿泊事業は、インバウンド旅行客の取り込みなどの点では有効な施策ですが、一方で、届け出過程における構造的な弱点があり、違法な業者がはびこりやすい現実があります。そして、それが近隣地域への迷惑につながっているものと思われます。そこで、届け出申請時の実態確認や事業開始後の定期的な検査・指導を強化するなどの対策が必要だと考えますが、区の御見解をお示しください。
また、豊島区では、住宅宿泊事業に関して豊島区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例を制定しており、この条例の附則には、「この条例の施行の日から3年を経過した時点で、住宅宿泊事業の運営状況、区内の生活環境等を検討した上で総合的に判断し、この条例の必要に応じた見直しを行うものとする」という条例の見直し規定が定められております。この条例の施行日は平成30年6月15日であり、見直し規定で定められた3年は既に経過していますが、現在までの間に大きな見直しはされていないと思われます。しかしながら、住宅宿泊事業に関しては既に様々な問題が発生し、区民の皆様からも御不安の声が多数寄せられています。そして、制度の構造上の弱点についても今回指摘させていただきました。
そこで、現実の状況や課題に的確に対応するため、条例改正を含めた住宅宿泊事業に対する区の体制の見直しを検討すべきではないかと考えますが、区の御見解をお示しください。
最後に、学び舎ぴいすの活用についてお伺いします。
学び舎ぴいすは、現在、千川中学校の仮校舎として使用されておりますが、新たな学校改築方針で要小学校の改築が見送られたことで、千川中学校の改築完了後、学び舎ぴいすは、当面仮校舎としては使用されないことになりました。直近の入札不調を受けて千川中学校の新校舎の完成予定が令和10年度になることが示されましたので、そこから少なくとも現在計画期間として示されている令和26年度まで、長期間仮校舎利用の見通しはないことになります。要小学校の改築が見送られたことは非常に残念ですが、そのように決定した以上、今後は活用予定が白紙となっている学び舎ぴいすをどのように活用するのかを議論していくことが重要になりますし、区としても今後具体的な検討を進められるものと推察します。
今出ている活用案としては、総合体育場が使えない時期のスポーツ代替施設としての活用案があると伺いました。これも有効な案であると思われますが、それだけにとどまらず、より多様な視点から活用方法を模索していくことができればと考えております。
例えば地元の方からは、渋谷区のcoしぶやのような新感覚の子育て応援施設にしてはどうかという意見を伺いました。coしぶやは、コミュニティカフェ、プレイグラウンド、アトリエ、相談室などの豊富かつ独創的な機能を有しており、子育て世帯の居場所、遊び場、交流の場、相談の場として、子育て世帯の多様なニーズに対応した幅広い利用が可能な施設です。確かに学校施設として様々な機能を有しており、広さも十分にある学び舎ぴいすであれば、同等の施設として活用できる可能性は十分にあるのではないかと思われます。ほかにもコワーキングスペース、自習室として開放する方法、会議室、シェアオフィス、撮影スタジオなどとして有償貸し出しし、収益を得る方法なども案としては考えられます。これらの例も踏まえた上で、区として学び舎ぴいすの活用方法についてどのようなイメージをお持ちか、現時点での御見解をお示しください。
また、先述のcoしぶやの案のように、地元の方も学び舎ぴいすについては様々な思いをお持ちです。ぜひ早い段階から学び舎ぴいすの今後の活用方針について、地元の方も交えた意見交換会などを開催し、多様な活用案を柔軟に模索していただきたいと考えますが、区の御見解をお示しください。せっかくの新しくきれいで機能も充実したすてきな施設なのですから、型にとらわれない柔軟で斬新な発想で、豊島区にとって有益な形で最大限に活用できる方法を見出していくことができればと切に願っております。
以上で私の一般質問を終わります。
御清聴、ありがとうございました。
区長(高際みゆき)
ただいまの原田たかき議員の御質問にお答えをいたします。
私からは、産業振興に対する御質問のうち、まず、産業観光部を設置する狙いと期待する効果についてです。
この度の組織改正で産業観光部を設置いたしますのは、基本計画にもありますとおり、コロナ禍後の複雑かつ変化の激しい社会経済状況の中でも、区内中小企業が景気変動や社会環境の変化に対応するための経営力の強化支援や商店街の賑わいを維持・向上させるための地域活性化支援など、直面する経営課題に的確かつ迅速に対応していくためです。
専門相談員によるワンストップ相談や融資のあっせん、DX推進、販路拡大、人材育成を支援する区独自の補助金制度等による事業者支援とともに、個別起業相談、民間と連携した交流会、チャレンジ出店等、きめ細やかな起業・スタートアップ支援により区内経済の活性化に取り組んでまいります。併せて、マンガ・アニメ・コスプレに代表される本区のコンテンツをさらに地域ブランドとして磨き上げることにより、国内外に広く発信し、誘客を促進いたします。
このように、産業と観光が相互に連携し、両輪となって機動的な事業展開や情報発信をすることで、地域社会に好循環をもたらしていく。本区としては、今後そうした産業振興を期待し、新たな体制で取り組んでまいります。
次に、文化スポーツ部と産業観光部の連携方針についてです。
基本構想・基本計画には、文化スポーツ部を中心とするまちづくりの目標、「豊かな心と活発な交流を育む多彩な文化のまち」と、産業観光部を中心とする「活気とにぎわいを生みだす産業と観光のまち」を掲げております。将来像として描くのは、地域の皆様の交流にとどまらず、本区の特性でもある伝統文化と新たな文化が交差し、外国人をはじめ、区内外の多くの方々が訪れ、地域コミュニティや地域経済をさらに活性化させていくまちです。産業振興と観光、この両部の専門性と機動力を最大限に活かし、十分な連携により、相乗効果をもたらす事業展開を図ってまいります。
次に、デジタル産業支援政策の方向性についてです。
昨年策定した豊島区産業指針でお示ししておりますが、豊島区の産業のうち、稼ぐ力が最も高い業種は、情報サービス業やインターネット付随サービス業となっており、今後、デジタル産業は成長が見込める産業と考えております。デジタル産業に対する支援の方向性としましては、革新的なアイデアとテクノロジーなどを持つ企業が本区に集い、躍動し、区内経済の活性化や多様な社会課題の解決につながるよう取り組んでいきたいと考えています。例えば、デジタル産業は経営が軌道に乗るまで時間を要する場合もありますので、制度融資や事業者補助金、としまビジネスサポートセンターによる相談機能の強化など、資金面・経営面のバックアップを行う体制を整えてまいります。
また、区内には卸売・小売業や宿泊・飲食サービス業をはじめ、様々な産業が集積しておりますので、デジタル産業の発展が既存の他の産業にも波及し、デジタル産業が豊島区内の産業全体を牽引するような支援についても検討したいと考えています。
具体的には、デジタル産業分野の企業と連携し、区内事業者や商店街に対しDXによる業務効率化やデジタル技術を活用した先進的なサービスの提供、キャッシュレス決済の導入などを支援するような区内産業全体の底上げにつながる支援策を検討してまいります。
次に、基本計画において、働く方々に関する方針を定めた意図及びリスキリング支援についてです。
令和4年に区が実施した実態調査と区内経済団体へのヒアリングでは、多くの業種において人材確保が急務であることが分かりました。このような中小企業を取り巻く厳しい現状を踏まえ、誰もが自分らしく生き生きと働き続けることができる職場環境の実現が必要との意図から、経営・人材確保や次世代育成に向けた様々な取組みを推進する方針をお示ししました。これらの取組みは、行政だけでなく、産業団体や大学などの教育機関と連携して進めていく必要があります。
近年、中小企業は、「大企業に比べて幅広い仕事が経験できる。裁量権が大きい。転勤が少ない」などの理由から人気が高まっています。このような背景がある中、学生と意見交換した際には、「中小企業への就職を希望するが、中小企業の情報が入手しにくい」という声がありました。
今年度、区内産業団体と大学が連携して、区内経営者と学生との情報交換会を開催したところ、働く方々の生の声を聴けるということで54名の参加がありました。こうした民間の取組みは、若年層が区内産業に興味、関心を抱き、情報を得るために大変よい機会となりますので、区内事業者の新たな担い手が生まれ育つよう、産業団体や教育機関と連携して、今後も積極的な後押しをしてまいります。
また、女性のエンパワーメント実現の観点からの事業者におけるこれまでの慣行の見直しや様々な働き方改革は、人材確保、次世代育成、組織活力の向上にも資するものであり、取組みを応援してまいりたいと考えています。
リスキリング支援につきましては、子育て中の女性がスキルや知識を身に付けることで再就職やキャリアアップにつながるなど、女性活躍の場が大きく広がることが期待されます。また、個人がリスキリングを始めた場合、その方が勤務している企業にとって貢献できる人材になるというだけでなく、業務の幅が広がり、待遇面の改善や安定した雇用につながっていきます。一方、経営者にとりましては、業種によって求められるスキルや育成したいスキルが異なり、従業員の研修費の負担が課題となっています。
本区では、事業者向けに研修や講習の受講料や教材費について、今年度リニューアルした中小企業支援補助金を活用できるようにいたしました。今後広く活用いただけるよう、利用例を具体的に御紹介するなど、さらなる周知を進めてまいります。また、リスキリング支援につきましては、現在、国や東京都などが行う研修や講習が数多くございますので、それらの内容を研究しながら、区が行う支援策について検討をしてまいります。
次に、中小企業の経営力強化と起業・スタートアップ支援施策についてです。
区内産業を支える中小企業や今後の産業を牽引するスタートアップへの支援は、区の産業振興の重要な課題であります。特に革新的なアイデアや技術を持ち、イノベーションを生み出すスタートアップは、地域産業の活性化や雇用創出、社会課題の解決にも寄与するものであり、区としても大きく期待しているところです。
スタートアップ支援をはじめ、新たな産業振興支援策に踏み出すに当たりましては、としまビジネスサポートセンターの機能強化と起業・スタートアップ支援メニューの拡充の2つの側面からの十分な検討期間が必要と考えております。としまビジネスサポートセンターについては、平成22年度から金融機関や士業の皆様との協定に基づき、資金や起業・創業、販路拡大に関する相談、各種セミナーや勉強会などの事業を展開し、一定の成果を上げてまいりました。ただ、コロナ禍を経て急速に変化する社会状況に対応するためには、時代に合わせた見直しの時期に来ていると認識しております。また、起業・スタートアップ支援メニューの拡充としては、起業やスタートアップ起業者を対象としたビジネスイベントや支援プログラムについて、より社会課題の解決に資するビジネスモデルの支援につながるよう検討を進めたいと考えております。
こうした状況から、スタートアップ支援などについては、令和7年度当初予算案には計上をしておりません。令和7年度は、まずはとしまビジネスサポートセンターによる相談や融資あっせん、事業者向け補助金、セミナーをさらに強化し、事業者の経営基盤の強化と多角的なビジネス支援を継続するとともに、先ほど申し上げました事業実施内容などの見直しと新たな支援策の検討を進めてまいります。今後、先行した取組みなどの情報収集や検討、関係機関との意見交換、協議を進め、実施可能な施策については準備が整い次第、事業化に着手したいと考えております。
私からの答弁は以上でございます。
文化商工部長(渡邉圭介)
私からは、図書館に対する御質問のうち、まず、図書館の利便性向上のためのオンライン利用登録とカードレス化導入及び電子図書館と図書館システムの連携による利便性向上についてです。
オンラインによる利用登録は、現在23区では4区で実施しており、そのうち3区は、カードを発行せず、貸出しや返却などの手続きはスマートフォンやタブレットのみで処理することとしています。本区におきましても、行政手続きのオンライン化推進の一環として、図書館のオンライン利用登録、カードレス化を早期に導入できるよう検討してまいります。
電子図書館につきましては、指定管理者の自主事業として運用しているため、図書館と別に登録手続きをいただいています。御提案の電子図書館と図書館システムの連携は利便性の向上につながりますので、早急に事業者と調整し検討してまいります。
次に、電子図書館の蔵書数の評価と蔵書を増やす取組みについてです。
昨年度末の電子図書館の蔵書数は9,159点で、電子図書館サービスを実施している18区の中では11位、貸出数については17位となっています。蔵書数は平均的ですが、御指摘のようにジャンルや著書の偏りがあるほか、青空文庫と言われる著作権の保護期間が終了したライセンス料不要のタイトルの割合が多く、利用者のニーズに十分応え切れていないものと受け止めています。
デジタル化が急速に進む中で、電子図書館は電子書籍の普及とともに利用の拡大が期待される事業であり、区民の皆様からも蔵書数を増やしてほしいとの要望もいただいております。人気のある電子図書の多くはライセンス料の負担が生じますが、事業者の理解を得ながら、魅力的な電子図書を一点でも多く提供できるよう、蔵書数の増加に取り組んでまいります。
次に、電子図書館の直営化と改善についてです。
現在、指定管理者の自主事業としてサービスを行っていますが、来年3月末に指定管理期間が満了することから、事業形態の変更を含め、検討を始めているところです。御提案の区の直営のほか、事業者への業務委託など、それぞれの運営形態について、財政面や効率面等からの比較検証を十分に行い、利用者にとってより使いやすい電子図書館を目指してまいります。
次に、上池袋図書館の完全セルフ化の実現見通し及びその他の図書館での積極的導入についてです。
上池袋図書館の完全セルフ化は、既に設置済みの自動貸出機に加え、予約資料受け取りコーナー、リアルタイム返却機を設置するものです。これらを導入することで、カウンターに並ぶことなく手続きを完結できる利便性の高いサービスの提供が可能となりますが、経費面での課題があり、精査を重ね、今後導入できるよう検討を進めてまいります。その他の図書館につきましても、費用対効果を十分検証しながら、利便性や魅力の向上につながる機能を検討してまいります。
次に、ファブスペースにおけるサポート体制の整備についてです。
上池袋図書館で設置するファブスペースは、デジタル機器を使ったモノづくりが体験できるスペースで、多様な知識や情報を得る「知の拠点」に加え、得た知識や情報を活用する新たな「創造の拠点」として図書館を発展させることを目的に設置するものです。
幅広い世代の利用を想定しておりますが、とりわけ子どもたちに大いに利用してもらい、将来区を担う人材を図書館から育成できればと考えています。単に場所を設けるだけではなく、普段触れることの少ない機器の使い方や作品に対するアドバイスなど、利用者のニーズや経験に応じて的確に対応できる専門人材を配置する方針です。改修後の上池袋図書館は指定管理者による運営を想定しており、サービスのサポート体制につきましては、今後、区で基準を設け、より効果的な提案を事業者から受けた上で整備してまいります。
次に、多様な側面を持つ次世代の図書館の実現スケジュールと図書館ごとの特色等の展望についてです。
本区が目指す図書館の姿は、貸出し・閲覧の場としてだけでなく、居場所や交流の場、創造の場など様々な形で利用される図書館です。こうした次世代の図書館への変革には、空間づくりが重要であり、改築・改修が絶好の機会と認識しています。このため、令和8年度に改修する上池袋図書館、令和10年度に改築する千早図書館を次世代の図書館として整備したいと考えています。改築・改修の計画をお示ししていないその他の図書館も含め、ハードだけでなく、サービスや事業内容、館内ルールなど、ソフト面についても利用者視点によって見直すことで、豊島区基本計画に基づく「多様な役割を持つ新たな図書館」を実現してまいります。
また、本区では、それぞれの図書館の立地背景などから、例えば上池袋図書館は鉄道、千早図書館は池袋モンパルナスなど、各図書館が独自のテーマを掲げており、こうした特色を引き続き充実してまいります。
次に、多様な機能を図書館に付与するための面積の確保についてです。
多様な機能を持つ図書館の実現には、スペースの確保が大きな課題であると認識しています。施設の移転や複合化、中央図書館で申し上げますと、オフィスフロアの借上げなどの抜本的な解決策も考えられますが、用地や財政面など様々な困難や制約があります。上池袋図書館では、改修後も面積は変わらない中で余剰スペースの有効活用や電気及び空調設備の見直しなどで座席数やホールを拡充し、また、ファブスペースや飲食スペースなど新たな機能を設ける計画です。こうした既存機能の見直しによる効果的・効率的なレイアウトに取り組んでまいります。
次に、図書館の教育部への移行の狙いとサードプレイスや生涯学習の場としての図書館という方針との関係性についてです。
本来、図書館は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が定める教育機関として位置付けられております。平成20年度より、区民生活の様々な分野と連携し、文化施策の一層の推進を図るため、実務的な事業の実施や施設運営を文化商工部に移行し、講座やイベント、各課と連携した特集展示などの事業を展開しております。
一方で、全国規模で不読率が上昇し、子どもたちの読書・活字離れが懸念されております。本区においても、区立図書館の貸出数は、小学校低学年までは堅調なものの、小学校高学年から大学生層の減少傾向が顕著であり、子どもの読書活動の推進は喫緊の課題であると認識しております。
図書館課の教育部への移行は、区立図書館と学習情報センターとして整備を進めている小中学校の学校図書館との一層の連携強化を図ることで子どもの読書に対する関心と学習意欲を高め、主体的に学習できる環境を着実に推進していくことを目的としております。
この度の組織改正は、子どもの読書活動の推進体制を強化するものですが、教育部への移行後も一般の方を含めたサードプレイスや生涯学習の場としての図書館を目指す方針に変わりはなく、引き続き誰もがそれぞれのスタイルで利用できる多様な役割を持った図書館を目指してまいります。
私からの答弁は以上でございます。
健康部長(木山弓子)
私からは、住宅宿泊事業に対する御質問のうち、まず、不正な住宅宿泊事業届け出の可能性への認識と実際の事例についてです。
区では、届け出の際、事業者に対し、虚偽がなく事実であることを十分に確認した上で受理しておりますので、過去に本区において実際に不正な届け出であった事例はありません。もし、届け出後に虚偽の契約書や不正疑いが発覚した場合には、速やかにヒアリングを行って是正指導を行います。
次に、届け出申請時の実態確認や事業開始後の定期的な検査・指導の強化についてです。
届け出申請時の実態確認については、契約書類の内容確認や連絡先への架電などを行っております。また、事業系ごみの回収契約については、現在は契約書本体の確認は行っておりませんが、今後は確認を行うようにし、実態確認の強化に努めます。
事業開始後の検査については、毎年200件程度の現地標識確認を行っており、運営上の不備がある場合には、速やかに是正指導を行っております。
次に、条例改正を含めた区の体制見直しについてです。
住宅宿泊条例が施行されてから6年が経過し、夜間の騒音やごみの不適切排出など、住民生活に大きな影響を及ぼすような問題が発生していることは認識しております。
そのため、本定例会の区民厚生委員会で現状と今後の方向性を御報告し、来年度には関係者とも協議を重ねた上で、条例改正も含め、運用ルールの見直しなどについて検討してまいります。
私からの答弁は以上でございます。
教育部長(兒玉辰哉)
私からは、学び舎ぴいす活用方法のイメージと活用方針に関する地元住民との意見交換会開催についてです。
学び舎ぴいすにつきましては、学校改築を行う際の仮校舎としての活用を想定しておりますが、千川中学校の竣工後、次なる学校改築の計画が策定されるまでの間、最大限有効に活用する必要があると考えております。
現在、活用方法として、不登校の子どもたちの居場所や学習支援の活動場所など、子どもたちのための活用を第一に考えております。加えて、グランドや体育館などの運動施設については、朋有小学校と西巣鴨中学校の校舎一体型小中連携校を整備する際の総合体育場の代替施設としても活用を検討しております。
学び舎ぴいすは、充実した設備と十分な広さを備えておりますので、その施設を最大限有効に活用できるよう、地域の皆様から御意見を伺う機会を設けるなど、地域の皆様の御意見を伺いながら検討を進めてまいります。
以上をもちまして原田たかき議員の御質問に対する答弁を終わります。