令和5年第3回定例会

Q
私は、「豊島区のさらなる発展の礎を築く」と題して、1.事業者支援政策、2.学校教育、3.環境政策、について一般質問をいたします。これらの3分野は、これから豊島区がますます発展し、区民の皆様がより豊かな生活を送れる地域となっていくための土台として、私が特に重要であると考えている分野です。区民の皆様に豊島区の将来に希望を感じていただけるような前向きな議論にしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、豊島区における事業者支援政策について伺います。
 令和5年5月8日から、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行され、世の中ではコロナ禍は終わったというような雰囲気が感じられるようになりました。しかしながら、いまだにコロナ禍の爪痕に苦しんでいる事業者が数多くいるのが現実です。また、コロナ禍や昨今の急激な物価上昇を受けて、事業形態の大転換を試みる企業も増えています。
 地域の原動力は、何と言っても地域経済を支える区内の多くの事業者の方々であり、今後の豊島区の発展のためには、これらの課題を抱える区内事業者に対する支援を拡充することが重要になると考えます。この点に関しては、さきの第2回定例会における高際区長の所信表明演説の中でも「区内産業の活性化」というテーマで、「としまビジネスサポートセンター等のサポート体制の充実化、起業・創業支援、地域産業の活性化等、多方面からの取組みを行う」と御発言されており、大変頼もしく感じております。
 事業者支援政策の中でも事業者の方々が特に関心を持っているのは、やはり補助金制度だと思われます。豊島区は、コロナ禍に苦しむ事業者に向けて、事業者申請支援事業補助金や新型コロナウイルス感染症防止対策費用補助金及びその後継制度であるウィズコロナ販売促進費用補助金など、その時々のコロナ禍の状況を踏まえた、優れた区独自の補助金を幅広く打ち出してきました。多くの事業者がこれらの補助金に救われており、今後も豊島区の積極的な政策に期待する声が私の下にも多く寄せられております。
 まず、これまでの補助金の実績についてお伺いします。これらの補助金は、制度ごと、年度ごとに様々なメニューが用意されていましたが、その利用実績及び利用の傾向や特徴について御説明ください。
 そして、今後もこの実績と経験を生かし、時代の流れに即した、そして地域の実情に合った豊島区ならではの補助金制度を創出していくことが、今後の地域経済活性化のカギになると考えます。
 実際に他の自治体では、ポストコロナ、ウィズコロナの時代に向けた独自の補助金制度をつくり出している事例も数多く見られます。新宿区の「経営力強化支援事業補助金」などは、先述の豊島区の補助金制度を複合したような興味深い制度設計となっています。この補助金のメニュー設計や複数回申請可能な仕組みは、利用者ごとの実情に合わせたきめ細やかな補助が可能であり、豊島区でも導入するメリットは大きいと考えますが、区としての御見解をお示しください。
 また、茨木市の「小売店舗改築(改装)助成事業」、桐生市の「桐生市空き店舗活用型新店舗開設・創業促進事業補助金」などは、地域の小規模な事業者の実情に合わせた内容であることに加え、空き家活用にも資するという、まさに自治体だからこそできる補助金であると言えます。あるいは、名古屋市の「名古屋市航空宇宙産業設備投資促進補助金」、京都府の「次世代地域産業推進事業」のように、対象を自治体の重点分野に集中し、採択数を絞りながらも一件に大規模な支援を行うタイプの補助金は、より大局的な成長戦略の観点からも有効です。
 これらのような新しい視点からの制度設計も、今後検討の余地があるのではないでしょうか。
 そこでお伺いします。新たな視点の制度設計も含め、今後の豊島区独自の事業者支援補助金制度の展望について、区の御見解をお示しください。
 また、事業者支援における専門家の活用についてもお伺いします。
 私は、隣接法律専門職の一つである行政書士としての視点から、事業と法令の関係を強く意識しています。事業を営むに当たっては、法令に基づく様々な制度・規制が関係します。近年話題のインボイス制度などの税制、従業員雇用の際に必要な労務、業種ごとの許認可制度などがその代表例です。これらの法令遵守、コンプライアンスは円滑な事業運営には欠かせませんが、昨今はこの点が非常に厳しく見られる傾向にあります。
 加えて、社会情勢の変化を受けて事業転換を図り、未知の事業に挑戦する事業者にとっては、不慣れな分野の法規制が思わぬ落とし穴になる可能性もはらんでいます。実際に私が行政書士としてお会いした事業者の中には、法令の規制を知らぬままに新しいお店を開く計画を立ててしまい、後になって方向転換を余儀なくされたという方もおられました。こうした事業者の方々にとっての足元の不安を軽減し、事業そのものに注力できるようにするため、事業者が各分野の専門家の助けを得やすい環境を整えることも有効な経済政策であると考えます。
 この点、豊島区では各士業団体の協力の下、ビジサポに士業の相談スタッフが配置されていたり、定期的に無料の士業相談会が開催されていたりと様々な取組みがなされています。さらにインボイス制度周知に関する税理士会との連携、コロナ禍の事業者申請支援制度での行政書士会との連携も特徴的なものです。各士業団体との連携力という点も豊島区の経済政策上の強みであると捉えております。
 一方で、ビジサポに配置される士業の種類が限られていること、無料相談会は事業系の相談が少ないこと、ビジサポや無料相談会で受けられるのは一般的なアドバイスにとどまり、事業者が真に求める個別具体的なアドバイスを得るのは困難であることなど、改善し得る点もあるとの指摘がありました。
 豊島区の専門家との連携力の強さを生かしつつ、これらの点を改善し、より充実した事業者支援環境の創出を目指してはいかがでしょうか。さきの新宿区の補助金における専門家依頼費をメニューに組み込む制度設計などは、その方策の一例であるかと思われます。
 そこでお伺いします。今後の区の事業者支援政策における専門家の活用の方針について、区の御見解をお示しください。
 次に、今後の豊島区における学校教育に関して伺います。
 最初に取り上げるのは、学校教育の現場におけるICT技術の活用です。
 豊島区ではGIGAスクールの下、令和2年度、1人1台のタブレット端末導入が実現しました。文部科学省は2019年にこのGIGAスクール構想を打ち出しましたが、2021年7月の同省が実施した調査では、この時点で全国の小中学校のうち、実に96%が「全学年または一部学年でICT端末を使っている」と回答しました。これを受けて、「GIGAスクール構想は既に具現化しており、その次の段階として、学校にICT端末が整備された後の実際の運用や管理を考える『アフターGIGAスクール』の段階に入った」という言説が出ています。これに関しては、文部科学省の提示する「GIGAスクール構想の実現ロードマップ」でも「各教科等の学習活動においてICTを効果的に活用」という項目が示されています。
 豊島区においても、これからは導入したタブレット端末のより効率的な活用方法を教科ごとに模索していく段階にあるのではないでしょうか。その際に、特に重要なのは、表面上だけのタブレット端末利用にとどまることなく、タブレット端末だからこそできるという真の意味での有効活用方法を実現していく視点だと考えます。この視点から見たときの、各教科の授業におけるタブレット端末活用の現状とその評価及び今後の課題について、実例なども示しつつ御説明ください。
 次に、今後の教育現場におけるICT技術の活用方針についてお伺いします。
 文部科学省は、令和6年度にまず英語、令和7年度以降に算数・数学でデジタル教科書を導入する方針を立てています。豊島区では、国の方針に先立ち、既に実証実験としてデジタル教科書の利用が開始されており、現在は本格導入に向けての様々な検証が日々行われていることと存じます。他自治体でも、例えば港区や渋谷区なども積極的なデジタル教科書導入を進めています。しかしながら、世界的に見ると、例えば韓国では令和2年の時点で小学校の98%、中学校の97%でデジタル教科書が導入され、シンガポールでは平成19年の時点からデジタル教科書が活用開始されているとのことであり、日本の動きは悠長であるようにも感じられます。GIGAスクール構想が諸外国と比べての遅れを取り戻す目的で始まったことを考慮すれば、デジタル教科書についても、より迅速な本格導入を目指すべきではないでしょうか。
 そこで、デジタル教科書活用に関する現時点までの評価や見えてきた課題について御説明ください。そして、今後は様々な課題を克服しつつ、デジタル教科書の本格導入をより迅速に進めていくべきだと考えますが、区としてはどのようにお考えでしょうか。
 さらに、ICT技術の進歩はすさまじい速度で進んでおり、教育に関しても新たな技術が次々に登場しています。最新の学習用アプリ、VR・AR技術、そして昨今話題の生成AI技術などはその代表例であり、一部の自治体では独自にこれらを導入し、大きな成果を上げているところも見られます。
 例えば、千葉県印西市の小学校では、Googleの日本法人が支援するNPO法人と連携し、生成AIの体験授業が実施されました。また、埼玉県久喜市の小中学校では、インテル社の協力の下、3Dプリンターを導入し、同校のICT部で活用されているそうです。このような企業と連携した体験授業や部活動への試験的な最先端機器導入などは、予算を抑えつつ、子どもたちに最新技術に触れてもらう機会を迅速かつ効果的に提供できる方法として考えられますが、今後、区としてこのような取組みを進められてはいかがでしょうか。
 先ほども言及した教育先進国シンガポールの教育科学技術計画(EdTechプラン)では、その冒頭にて「科学技術における日進月歩の急速な変化に対応する機敏さを確立する」と明記されています。ICT技術の急速な発展、そしてそれに対する世界の動きに乗り遅れないよう、豊島区としても独自の積極的な姿勢をお示しくださいますようお願いいたします。
 続いて、学校における外部講師による特別授業に関してお伺いします。
 学校では定期的に外部の企業、士業団体等を講師として招き、普段触れる機会の少ない特別なテーマに関する授業を実施されているかと存じます。私自身も以前、行政書士会の一員として、成人年齢引下げを受けて、「契約」や「著作権」に関する講義を地域の中学校で実施した経験がございます。同じく士業団体である社会保険労務士会では、社会に出て間もない若者が様々な要因で就労継続困難になるケースが増加していることを危惧し、子どもたちに早い段階から「働くこと」を考えてもらうための出前授業を実施しています。税理士会が実施する租税教育も、税に関する議論が様々なされる今日においては、大変意義深いものです。また、企業を招いての授業では、様々な業界の現場を学ぶことができ、子どもたちが将来を考える貴重なきっかけとなります。
 このような特別授業は、子どもたちにとって非常に有意義な体験となるとともに、日々の学校生活の刺激にもなります。コロナ禍で対面授業が難しくなった関係で一時下火になりましたが、今後はこれまで以上にこのような特別授業を開催していくべきであると考えております。この点、区としての御見解をお聞かせください。
 また、授業を実施する団体側からは「学校側からの要望があればぜひ実施したいが、学校側とのつながりがなく動けずにいる」という声が寄せられています。現状は、学校側からの要請があって初めて企画が動き出すようですが、今後は、団体、学校の双方向での交流を促進していくべきではないでしょうか。
 そこで、まずは各団体と学校のマッチングを促進し、特別授業に関する意見交換や提案を行う場・仕組みを区が主導して整備することを御提案しますが、区としてはどのようにお考えでしょうか。子どもたちにより多様な学び場を提供するためにも、前向きに取り組まれることを期待いたします。
 最後に、豊島区の環境政策に関して、秩父市との協定に基づく「としまの森・ちちぶ」のこれまでの成果と今後の展望についてお伺いします。
 豊島区は、令和元年7月10日、姉妹都市である秩父市との間で、豊島区と秩父市との森林整備の実施に関する協定を締結し、秩父市と連携して「としまの森・ちちぶ」の森林整備を進めてきました。令和4年度までに計1.55ヘクタールの整備が完了しており、本年度中に、協定に定められた1.89ヘクタール分全ての整備が完了する見通しとのことです。
 「としまの森・ちちぶ」は、カーボンオフセットによるCO2排出量の削減や区民、特に子どもたちの環境教育の促進などを目的としており、CO2吸収量に関しては、令和4年度までの森林整備により年間約20トンのCO2吸収量増加が認証されたと公表されています。また、環境教育に関しては、例年、秩父・環境交流ツアーが開催されており、本年も8月5日に開催され、募集人数を大幅に上回る申込みがあり、大盛況であったと伺っております。
 我が会派も、本年8月22日に現地で視察を行い、現地見学と秩父市担当者との面談を実施しました。通路はきれいに整備され、安全面にも十分に配慮されており、通路の傍らには萌芽更新の様子を実際に見て学べる切り株が配置されているなど、訪れた人が安全に楽しく自然と触れ合える環境となっていると感じました。
 秩父市との協定の期間は、令和6年3月31日までとなっており、今年度末が一つの区切りとなります。
 そこで、まずは協定締結から現在に至るまでの取組みの成果についてお伺いします。これまでに秩父・環境交流ツアーを通して延べどれぐらいの区民が「としまの森・ちちぶ」に訪れたのか、そして、その方々からの反響はどのようなものだったのかをお答えください。
 次に、「としまの森・ちちぶ」に関する秩父市との連携の今後の展望についてお伺いします。
 先述のとおり、現在の秩父市との協定は、令和6年3月31日で期間満了となります。本取組みは非常に特色のある環境政策の一つであり、環境交流ツアーの盛況ぶりを見ても、区民の皆様の満足度も高いと思われますので、今後も継続する価値は大きく、秩父市との協定は更新すべきと考えております。
 ところで、現在の協定で定められている1.89ヘクタール分の森林の整備が完了した後は、必然的にその森林の維持管理費用がかかります。しかしながら、カーボンオフセットという視点では、既に整備が完了した森林の維持管理行為ではCO2吸収量は増えないため、CO2排出量削減を目指すのであれば、新たに別の森林の整備を進めることが必要となり、そのための費用もかかります。さらに秩父市担当者からは、基本的に現状を維持しつつも、「としまの森・ちちぶ」でのイベントの拡充や木材利用及び木育の促進、森林整備における人員確保などは今後の課題として捉えているという話を伺いました。協定を更新するのであれば、単純な現状維持ではなく、これまでの成果を生かしつつ、新たな取組みも導入し、より効果のある環境政策としていくことが重要ではないかと考えます。
 そこでお伺いします。秩父市との協定の更新も含め、今後の「としまの森・ちちぶ」をめぐる政策に関する区としての方向性をお示しください。
 その際、現時点までに秩父市との間で本取組みに関する議論の進捗がありましたら、併せてお答えください。
 
A

教育長(金子智雄)

私からは、学校教育についてお答えをいたします。
 初めに、各教科の授業におけるタブレット端末活用についてです。
 1人1台タブレット端末を整備した当初は、教員も子どももタブレットを使用すること自体が目標となっておりました。現在では教科ごとの学習内容に応じてタブレットを使用する場面と使用しない場面を意識的に使い分けたり、デジタル教材を活用して個別学習と共同学習を実施する、そのような段階に至っております。そのように、活用の質が着実に向上しているものと評価をしております。
 今後の課題ですが、引き続き教員のICTリテラシーのさらなる向上を図りながら、デジタル教科書の本格導入や国が構想しているデジタル学習環境の進展を踏まえながら、タブレット端末の活用をさらに推進することだと考えております。
 次に、デジタル教科書の活用及び本格導入についてです。
 現在は、文部科学省のデジタル教科書実証実験を行っております。この学習用デジタル教科書については、「動画があり、興味、関心につながる」、あるいは「家庭で自主的に学習する生徒が増えている」「抽象的な概念についても具体的な操作をしながら考えることができる」などの効果が言われている一方、「困っている子に気づきにくい」「ミスタッチにより違うサイトに移り、時間のロスがある」「教科・単元によってデジタル教科書の効果に差がある」などの課題が挙がっています。
 今後は、国や他自治体の動向も注視しながら、主要教科を中心に導入の拡大を検討してまいります。
 次に、企業と連携した体験授業などの取組みについてですが、学校の授業や部活動において企業などと積極的に連携することは、子どもたちの授業での学びを深め、新たな学習課題を発見できる絶好の機会であると受け止めております。
 椎名町小学校におきましては、民間企業と連携し、プログラミングを活用した未来のまちづくりに役立つロボットを製作いたしました。また、これから始まる「としま土曜部活」では、民間企業と連携し、ドローンを飛ばすプログラミングにチャレンジをいたします。今後もさらに学校、地域、企業などが連携し、最新技術に後れることなく、触れていく学びを区立小中学校で提供できるよう、学校を支援する体制づくりを進めてまいります。
 次に、外部講師における特別授業についてですが、新型コロナウイルス感染症が5類の感染症に移行したことに伴いまして、学校では外部講師を招くことについて制限は設けなくなりました。現在も教育委員会には、様々な多くの団体の方々から学校教育へ協力のお申し出を日々承っておりまして、教育委員会から学校へ、その都度情報提供を行っております。引き続き各学校に実施の目的と授業の目当てが一致しているかを確認しつつ、教育課程上の位置付けを明確にして、効果的な特別な授業を行うよう指導をしてまいります。
 次に、特別授業に関する仕組みの整備についてです。
 各団体からのお申し出は、現在、教育委員会事務局において受け付け、その都度各学校へ情報提供しております。学校とのつながりがなく申し出を躊躇されている団体の皆様にも、まずは教育委員会のほうへ御連絡をいただければと思っております。
 今後は部活動の地域連携などへ公民連携による外部人材の活用が一層増えていくものと考えています。御提案の新たな仕組みづくりについては、それらを含む放課後支援を進める中で効果的かつ効率的な公民連携体制の構築検討の参考にさせていただきたいと考えています。
 私からの答弁は以上でございます。

文化商工部長(小池章一)

私からは、事業者支援政策についてお答えいたします。
 初めに、補助金の利用実績及び利用の傾向や特徴についてですが、行政書士が事業者の代わりに申請代行を支援する事業者申請支援事業補助金は、令和2年度から4年度まで実施し、3年間で5,000件を超える申請がありました。その中でも緊急事態宣言に伴う事業者の家賃を支援する国の一時支援金や、これに上乗せした都の支援金などに特に多くの依頼がありました。また、ウィズコロナ販売促進費用補助金は、令和2年度から名称や補助対象を変更しながら今年度も実施しており、令和2年度421件、令和3年度682件、令和4年度1,118件の申請がありました。コロナの蔓延が激しかった令和2年度、3年度は10万円を限度額に感染の拡大防止を目的としたため、衛生用品やパーテーションなどの申請が多くありました。また、感染拡大が抑制されてきた令和4年度は、従来の感染防止に加えて、販売促進、デジタル化促進も対象にし、補助金額も合計30万円に増加したところ、パソコンをはじめとするデジタル機器の購入に多くの申請をいただきました。令和5年度は、デジタル機器購入を、本来の目的を踏まえ対象経費から除外する一方で、インボイス制度やデジタルの専門家相談料などを対象経費として加え、10月2日まで申請を受け付けているところでございます。
 次に、利用者ごとの実情に合ったきめ細かな補助金の導入についてです。
 本区では、現在、ホームページ作成支援補助金、見本市等出展支援補助金、専門家派遣事業補助金に先ほどのウィズコロナ販売促進費用補助金を加えた4つの補助金を事業者の皆様に提供していますが、各事業とも一度限りの申請となっております。御案内のありました新宿区の補助金は、事業の上限額に達するまで何回でも申請が可能であることが特徴となっております。今後利用の実態や事業者の皆様、各産業団体から御意見を伺いながら、事業者の皆様が利用しやすい補助制度の見直しを検討してまいります。
 次に、本区独自の補助金制度の展望についてです。
 現在、今後10年間の区内商工振興の方向性を示す「産業振興指針」の改定作業を行っております。その中で、策定委員だけでなく、東京商工会議所豊島支部や豊島区商店街連合会をはじめとする区内の産業関係団体の皆様方にも直接ヒアリングを実施しております。主に「補助金申請書が煩雑である」とか、現在、事前に申請し、事後に報告しているスタイルを「事業後だけで申請が済むようにしてほしい」、また、「ほかの自治体と比べると補助金メニューが少ないのでは」との御意見をいただいております。事業者支援の補助金は、経営者が事業を展開していく上で助けとなることが重要であると認識しております。今後、起業へのチャレンジを応援したり、100年続くような企業を育てていけるような、本区の産業が進化し続けるような補助金制度を検討してまいります。
 次に、事業者支援政策における今後の専門家活用の方針についてです。
 としまビジネスサポートセンターでは、水曜日に税理士による「税務相談」と社会保険労務士による「労務相談」を実施しております。起業する事業者の皆様には、制度全般についての知識や必要な手続きを分かりやすく聞けると好評いただいております。一方で、相談者の業種や規模、経営状況などによって相談したい内容は千差万別であり、一般的な助言にとどまり、個別具体的なアドバイスまで至らないケースもあります。様々な分野の専門家から的確な助言や指導がもらえることは、今後の事業展開に大変有益であります。今後専門家による出張相談を加えるなど、これまでのとしまビジネスサポートセンターの機能を拡充しつつ、現在の経済状況下の中で浮かび上がる新たなニーズに対応できるよう、幅広い専門家の活用を検討してまいります。
 私からの答弁は以上でございます。

環境清掃部長(岡田英男)

私からは、環境政策についてお答えいたします。
 初めに、秩父・環境交流ツアーについてですが、令和元年度から開始し、新型コロナウイルス感染症の影響により令和2・3年度は中止しましたが、本年8月の開催で3回目を迎え、参加者は延べ114名となっております。
 また、参加者の反響ですが、小学生を含む親子の参加が多く、これまでのツアー後のアンケートでは「自然に触れることができてよかった」「子どもにとって貴重な体験になった」との声が多く寄せられております。また、直近の本年8月に実施した際のアンケートでは「環境への意識が高まった」との回答が全体の95%を占めており、現地の森林に触れることで自然の大切さなど、生きた環境教育の場となっていると受け止めております。
 次に、今後の「としまの森・ちちぶ」についてです。
 この取組みについては、都市と地方が連携しながら環境課題を解決する好事例として国から高い評価をいただいており、また、ツアーの参加者からは、協定継続の御意見を多くいただいております。そのため区としては、これまでの成果を踏まえ、協定を更新し、新たな森林整備地域を定めるなど、秩父市との自治体連携によるカーボンオフセットをさらに進めていくことが重要と考えております。
 なお、現在、秩父市ともこの考え方を共有し、その方向性に沿った形で協定更新に向け協議を進めているところです。